あらすじ
「今日限り、お前をこの家の者として認めない」
魔力を持たない「欠陥品」として、実の家族から冷酷に追放された男爵家の次男、ルシア。
行き場を失い、人間界と魔界を隔てる死の荒野で倒れた彼を拾ったのは、魔界を統べる絶対的な存在――氷の魔王、ゼファリアスだった。
「お前は余のものだ。ここで従者として働け」
感情を凍らせ、孤独な王座に君臨し続けてきたゼファリアス。
しかし彼もまた、他者からの魔力供給がなければ命を落とす「魔力枯渇症」という致命的な呪いを抱えていた。
誰かに必要とされたいと願うルシアは、自らの命を削ってでも彼に魔力を捧ぐことを決意する。
だが、ルシアの胸に刻まれた忌まわしい封印が解かれた時、彼が隠し持っていた真の力が覚醒する。
ルシアの正体は、あらゆる魔力を補完する「万色の魔力」を持つ『精霊の愛し子』だった。
互いの欠落を埋め合うように惹かれ合う二人。
やがて彼らは、世界を裏で操る精霊王の巨大な陰謀へと立ち向かっていく――。
冷たい氷の心を溶かす、温かく甘い救済と溺愛のファンタジー。
【登場人物紹介】
◆ルシア・フォン・ヴェルナー
「魔力ゼロ」の烙印を押され、家族から見放された男爵家の次男。
しかしその正体は、古代の魔法を操る力を持つ「精霊の愛し子」だ。
生まれつき施された重い封印のせいで力を奪われ、ただ愛情と居場所に飢えていた。
不器用なほどに素直で、一度心を許した相手にはどこまでも忠義を尽くす忠犬気質を持っている。
◆ゼファリアス・グラシエル
魔界を統べる、絶対的な力を持った「氷の魔王」。
数百年もの間、感情を凍てつかせ、誰にも心を開くことなく孤独な王座に君臨し続けてきた。
他者からの魔力供給がなければ命を落とす「魔力枯渇症」という致命的な秘密を抱えている。
冷酷な支配者として恐れられているが、その奥底には不器用で高潔な優しさが隠されている。
◆ゼフィロン
世界の均衡を保つとされる精霊王。
しかしその裏では、人間界と魔界の対立を煽り、すべてを自らの支配下に置こうと目論む真の黒幕だ。
◆レオナ・フォン・ヴェルナー
ルシアの義兄であり、人間界で優秀な魔術師として名を馳せる男。
冷酷に弟を追放した張本人だが、その行動の裏には彼なりの複雑な感情と、巨大な組織の影が潜んでいる。
◆カイル
ゼファリアスに絶対の忠誠を誓う魔族の側近。
主君の身を何よりも案じており、最初は素性の知れないルシアを警戒するが、彼の純粋な献身を前に少しずつ態度を変えていく。