あらすじ
違和感は、いつも“ほんの少し”だった。
同じ言葉を繰り返すクラスメイト。
ズレる影。鳴らないはずの音。
そして転校生・未知。
——彼女には、心臓の音がなかった。
人の“心”と“感情”がデータとして管理され、
壊れた人間は分解され、再利用される世界。
その中で、箔だけが“ズレ”に気づいていた。
だがある日、知らされる。
自分の心臓が——
他人のものの寄せ集めでできていることを。
「それ、前は私のだよ」
失敗作として廃棄されるはずだった存在、未知。
完成に最も近い“器”である箔。
二人は出会い、壊れ、そして選択を迫られる。
世界に従い、“正しく再生される”か。
それとも——
壊れたまま、生きるか。
やがて明らかになる真実。
この世界は、人間を作っているのではない。
“心臓=感情”を選別し、組み替える装置だった。
崩壊する世界の中で、
二人が最後に掴んだものは——
不完全な鼓動。
たとえそれが偽物でも。
たとえ何度壊れても。
「ここにいる」と言えるなら、それは本物だ。
壊れた世界で、自分を選び続ける物語。
SF×ホラーが描く、“存在”の再定義。