あらすじ
侯爵令嬢ソレーヌは、亡き母との約束を守るため、十年近くフェリシアン家で尽くしてきた。
しかし返ってきたのは、義母オルタンスの執拗な嫌がらせと、婚約者フロリアンの無関心。表向きは「無能な穀潰し」と罵られながら、ソレーヌは裏で家計管理・社交界の根回し・領地経営のすべてを一人で担い、没落寸前だった家を立て直していた。
結婚式を翌日に控えた夜。亡き母の形見が売り払われ、フロリアンは愛人カミーユを隣に侍らせてこう言い放った。
「結婚しても愛は与えない。死ぬまで便利屋として働け」
――もう、十分です。
ソレーヌは静かに決意した。秘密裏に進めていた全契約の解除と実務の引き揚げを完了し、以前から熱烈な打診を送ってきていた北方の名門・ブラッドレイ公爵家へ向かう。
翌朝、フェリシアン家は大混乱に陥った。滞る支払い、取引先からの絶交状、義母が隠していた不正の露呈。
「今さら戻れと言われても、遅いです。──私の新しい旦那様は、とても独占欲が強い方なので」
冷徹と噂される公爵セドリック。しかし彼は、去りゆくソレーヌをずっと前から知っていた。
「やっと来てくれた。──今度は、二度と手放さないよ」
十年間虐げられた有能令嬢が、自分を正当に評価してくれる至高のヒーローに、激しく、甘く溺愛される逆転ラブストーリー。