あらすじ

愛が最高潮に達した瞬間に、一方が死ぬ。自らの手で死ぬことは許されない。その二行の契約を死神アズラエルと交わしてから、私は一万回を超えて転生してきました。 第一万一世の今朝。没落貴族の令嬢として目覚めた私は、左鎖骨の白銀の薄荷を確認し、羊皮紙の戦況図の上に「完璧な死の設計図」の第一稿を描きます。革命前夜。相手役は、記憶を持たない若き将軍。私が前世で愛した、同じ魂です。 泣く代わりに、私は数えます。笑う代わりに、私は測ります。感情は便利な熾火(おきび)ですが、設計図の上では定規の邪魔になります。悲劇ではありません。これはミッションです。 小指を絡めて視線を合わせる「魂の指紋」が発動した瞬間、彼の呼吸は一拍止まりました。一万世以前、契約を交わす前のただ一度きりの生で、彼が私の耳元に授けた愛称――その音が、彼自身の口から戻ってきた瞬間、愛のピークが起動します。七十二時間工程表の最後の一行には、私の身代わり死が書き込まれています。 やがて記憶を取り戻した彼の、底の抜けた溺愛が始まります。「何故、言ってくれなかった」――けれど、気づいた時にはもう遅い。一万一回分の「遅すぎた愛」が、彼自身の手で精算されていきます。 万余の死の果てに、二人で一つのハッピーエンドを設計する物語。観測者であり蒐集家である死神アズラエルだけが知っている、情動の熾火の真の重さが、その最終工程の鍵を握ります。

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小説を読もう2026/04/21
  • 現在の作品魂のログ――一万一回目の、完璧な死の設計図 〜愛した瞬間に死ぬ契約を、死神と結んだ私の一万世〜