あらすじ
四十八歳、夜勤明けの特養で心筋梗塞。気がつけば、真っ白な窓口で、とんがり帽子の神様が書類をめくっていた。「転生窓口の担当、ツクヨです。——凡人枠です。チートも神の祝福もありません。予算の都合で」。次の職場は、剣と魔法の異世界。エルフの森で、八百歳の長老が、木に名札をかけて回っているという。「妻の木」「息子の木」——同じ幹に、何度も。族長は「森の呪い」と言い、若きエルフは、その言い伝えに目を伏せる。
だが、その光景を、俺は二十年見てきた。前世、特別養護老人ホームのケアマネジャー。
呪いの祓いでも、精霊の加護でもない。必要なのは、一冊のノートと、毎日同じ道を歩く午後だけだ。
——八百年生きてきた種族に、「病気」という二文字を、受け入れさせるまで。