あらすじ
「占いなんて嘘だ」と知りながら、占い師を続けている男がいる。
青海渚、二十五歳。母を騙した占い師への静かな怒りを胸に、コールドリーディングと調査で人の心を読み、「占い」という名の優しさを売っている。インチキ師だが、誰よりも相手に寄り添うことができる——それが、渚の誇りだった。
ある日、恋愛相談に訪れた女性が、別れた元婚約者への復讐を計画していると判明する。証拠を集めたのは、幼馴染の橘颯太が営む調査会社だ。「巻き込まれるな」と言いながら、颯太はいつも渚より先に動いている。渚のために徹夜で資料を作り、渚のそばを離れず、渚が危険にさらされた瞬間、真っ先に前へ出る。
渚には分からなかった。それが全部、「好き」という一言から来ていることが。
他人の心はどんなに複雑でも読める。なのに、一番近くにいる男の気持ちだけは、渚にはちっとも見えていなかった。
嘘と真実の狭間で正義を探す、インチキ占い師の恋——気づくのはきっと、もう少し先の話。