あらすじ
「光らない令嬢」と嘲笑われてきたミアレットには、誰にも言えない秘密がある。前世で看護師だった記憶だ。
ストラウド伯爵家の三女として生まれながら、治癒魔法の光が弱く、家族からも見放されてきた彼女は、ある夜、王宮の晩餐会で第二王子オスカーの杯に盛られた毒を見抜く。前世の知識を武器に「観察、仮説、検証、証拠」の手順で毒を暴いたミアレットは、殿下の命を救い、宮廷治癒師の助手として王宮入りを果たす。
しかし、宮廷は一筋縄ではいかなかった。薬草利権を握るヴァルクト派閥、その裏で糸を引く宮廷治癒師長レイドル、そして――最も身近な裏切り者、義姉アンネリーゼ。ミアレットは点と点を線で結びながら、宮廷の腐敗に切り込んでいく。
一方で、ミアレットに心を寄せる男たちが、次々と壊れていく。嫉妬、執着、逆恨み――九人の男が、ミアレットという鏡に自分を映し、自ら身を崩していく。
権威と実力、制度と命、噂と真実。三つの対立軸が交差する宮廷で、「光らない娘」は静かに、確かに、歩き続ける。
その隣には、いつも、殿下がいた。