あらすじ
あらすじ
冴えない大学生・長谷川誠は、ある日、路地裏の先にひっそりと佇む古書店「幻書堂」へ迷い込む。そこで渡されたのは、自分の名前が表紙に刻まれた白い本。ページには、誕生から現在までの人生が一字一句違わず記されていた。しかもその本には、まだ訪れていない“明日”までもが書かれている。
半信半疑のまま未来を覗いた誠は、憧れの先輩・中尾理沙との距離が縮まる出来事を知り、運命を先取りするように行動を始める。だが未来を知るたびに、親友の田中涼介との関係、自分の欲望、そして世界の仕組みそのものが不気味に軋み始める。ページは読むたびに消え、消えた分だけ新しい未来が継ぎ足される。ならば、そこに書かれた破滅も、もう変えられないのか。
これは、未来を知った男が幸福に近づくほど、逃れようのない悪意と運命の深淵を覗いてしまう物語。恋愛、執着、友情、そして“観測すること”そのものの恐怖が、静かに日常を侵食していくホラー作品である。
登場人物紹介
長谷川 誠
自己評価が低く、冴えない日常に鬱屈を抱える大学生。偶然手にした“人生の設計図”によって、未来へ介入しようとし始める主人公である。
中尾 理沙
アルバイト先の先輩。容姿端麗で気遣いもできる存在として描かれ、誠の感情を大きく揺さぶる中心人物である。
田中 涼介
誠の友人。明るく人懐こく、何度も誠を庇う男だが、物語が進むにつれて不穏な気配も滲み始める。
幻書堂の老人
誠を店へ導き、白い本を渡す謎の老人。本の仕組みと、この世界の“決まり”を知る案内人である。