あらすじ
「――悪いが、お前はもういらない」
パーティの仲間から“無能”と断じられ、あっさりと追放された主人公。
戦闘では目立たず、派手な魔法も使えない彼は、自分が役に立っていないのだろうと特に反論もせず、そのまま町を後にする。
辿り着いた先の町で、彼はごく普通の冒険者としての生活を始める。
薬草採取や簡単な依頼をこなし、静かで平穏な日々。
危険な魔物ともほとんど遭遇せず、「最近はこの辺も平和だな」と気楽に過ごしていた。
一方その頃、彼を追放した元パーティでは異変が起きていた。
これまで難なくこなしていた依頼で苦戦し、魔物の数は増え、連携は噛み合わず、わずかな判断ミスが致命的な結果を招く。
やがて彼らは壊滅寸前にまで追い込まれていく。
なぜこんなことになったのか。
その答えに、彼らは遅れて気づく。
かつてパーティにいた“何もしていなかったはずの男”が、無意識のうちに危険を回避し、最適な判断を積み重ね、すべてのバランスを保っていたのだと。
しかし当の本人は、自分が何をしていたのか理解していない。
「ただなんとなくやっていただけ」と思っている。
これは、何もしていないつもりの男が、気づかぬうちに周囲を救い、いなくなった途端にすべてを崩壊させてしまった物語。
――本人だけが、それに気づかないまま。