あらすじ

閉塞感が社会を覆う時代。リーマンショック、パンデミックを経て、長引く不況に喘ぐ日本。 富士原りか。住所不定、ネットカフェ暮らし。社会から切り離され、誰からも必要とされない。金以外に興味はない。明日が来ることさえ、どうでもいい――そんな女だった。りかのような生活をする人間は、このご時勢ざらだった。社会が疲弊し、行き詰っている証拠でもあった。 ある冬の日、埼玉県さいたま市の路上で凍えていた彼女に声をかけたのは、埼玉県北部の中小企業マキノファインテックの社員だった。提示されたのは、人型遠隔操作戦闘ロボット「アリーシャ」の操縦という奇妙な仕事。目的は「局所空間」と呼ばれる異世界に現れる敵性存在「シュロス」の殲滅。荒唐無稽な話だったが、給与に惹かれて契約した。 しかし、変わらない。何も。 ネットカフェの個室に閉じこもり、誰に対しても攻撃的な態度を崩さず、職場では孤立する。指揮官の牧野ちえとは事あるごとに激突し、作戦は失敗寸前を繰り返す。稼いだ金はあっても、行き場はない。居場所もない。変わる理由も、変わる気力も、どこにもなかった。 それでも――ある戦闘で崖っぷちに立たされたとき、りかは初めて自分の言葉を口にする。 「違う一日を過ごすの」 目指すものなど、なかった。誰かに認められたいわけでも、どうにかなりたいわけでもなかった。ただ、たった一つだけ手にしたかった。 この物語の主役は、りか一人ではない。 閉塞感の中でもがきながら、それぞれの重さを抱えて生きる人間たちの群像劇でもある。誰もが何かに追われ、何かに縛られ、それでも諦めきれない何かを胸に抱えている。その「何か」の正体を、この物語はゆっくりと、しかし確実に照らし出していく。 主な登場人物 富士原りか アリーシャの操縦者 牧野ちえ アリーシャプロジェクトの総合責任者 斉藤健二 アリーシャプロジェクトの技術責任者 注意:この小説には一部暴力的な描写、および性的な表現が含まれています。

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カクヨム2026/04/20
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