あらすじ
穀物税の暴動で失脚した宰相家の息子・レオンは、その夜、婚約者であるアリサに婚約解消書を差し出した。
彼女は受け取り、署名し、返した。
「合理的ですね」
それだけだった。
王宮会計局長・アリサ・フォン・カレンベルクは、感情の動きがゼロに見える。怒らない。泣かない。ただ数字を読み、数字で動く。
前世で会計監査員だったレオンには、わかる。
この女は、何か握っている。
暴動の翌日、焼け跡の市場で。財政非常時監査の発動で。議会の密室で。
アリサは静かに、しかし確実に動き続ける。
そしてレオンは気づく。
制度の失敗ではなかった。父の失脚は、仕組まれていた。そしてアリサは、最初からそれを知っていた。
数字は、嘘をつかない。