あらすじ
「その魔法、デザインが死んでるわよ」
現代日本で、数々のブランドロゴや広告を手がけてきた敏腕グラフィックデザイナー、寺島テラ。過労死の果てに彼女が転生したのは、魔法文字を書き写す「代書屋」を営むクラフト家の長女、テラ(3歳)だった。
この世界では、魔法は「魔法文字」を描くことで発動する。しかし、代書屋の娘として文字に触れたテラは、驚愕する。そこに並んでいたのは、あまりにも稚拙で、非効率で、何より「クソデザイン」な魔法文字の山だったのだ!
「カーニング(文字間隔)がバラバラ!」
「重心がズレて魔力が漏れてる!」
「ウェイト(線の太さ)を調整するだけで、出力は3倍になるのに!」
職業病ゆえ、文字の乱れがどうしても我慢できないテラ。彼女は3歳の小さな手で、代々受け継がれてきた「伝統ある魔法文字」を、現代のデザイン理論に基づいてリデザイン(再構成)していく。
ただの直線を、黄金比に基づいた「完璧な一線」へ。
歪んだ円を、魔力の循環を妨げない「正円」へ。
3歳の少女が「添削」したその文字は、ただの初級魔法を国宝級の術式へと変貌させ、暴走する死の猛火を静かな灯火へと手懐けてしまう。
母エラは娘の異常な才能に戦慄し、魔法を暴走させた幼馴染の少年アルノは、テラが描く文字の「美しさ」の虜になっていく。
これは、美しさを追求する一人のデザイナーが、美しくない世界の理をリデザインし、無自覚に魔法体系そのものを塗り替えていく物語。
「大丈夫。一ミリの狂いもなく、世界をリデザインしてあげるわ」