あらすじ
役に立たない男だった。
力もなく、剣も振れず、魔術も使えない。
だから、どこへ行っても“いらない側”だった。
――そんな男に、ひとりの娘ができた。
怖がりで、不安ですぐ泣いて、何度も「ちゃんといる?」と確かめてくる小さな子ども。
けれどその娘は、世界の綻びに触れると、音もなく“何か”を消してしまう。
井戸が消え、橋が消え、やがて空に傷が走る。
それでも男は、娘を“異常”とは呼ばなかった。
ただの子どもとして、隣に立ち続ける。
これは、壊れかけた世界で――
無能な父が、たったひとりの娘の「居場所」になるまでの話。