あらすじ
三十二歳の宮廷文書修復官クラウディア・ヴァイスは、王立文書院で破損した契約書や記録を直し続けてきた。だが三十四歳の婚約者フェリクス・ハルトと二十八歳の義妹ミレイユに、焼けた契約書の偽装を利用され、書庫の席も婚約も奪われてしまう。そんな彼女へ手を差し伸べたのは、北辺を治める三十八歳の辺境伯ルーカス・ライナーだった。彼の領地にある印刷工房では、領地契約の原本と複製が何者かにすり替えられ、冬季救恤金まで消えているという。綴じ糸、紙の透かし、逆刷り帳、焼け残った婚姻契約書。傷んだ紙を一枚ずつ直すほど、王都と北辺をつなぐ不正は鮮明になっていく。もう誰にも私の頁を勝手に破らせない。働く大人の女性が、自分の手で居場所と幸せを綴じ直していく逆転溺愛譚。