あらすじ
村はずれの古い墓場。
そこは、死者を葬る場所であると同時に、何かを埋め、忘れ去るための場所でもあった。
萌黄(もえぎ)、琥珀(こはく)、青丹(あおに)、真朱(しんしゅ)、紫紺(しこん)、銀朱(ぎんしゅ)。
色の名を持つ六人の少年少女は、ある夕暮れ、墓の下から獣の紋を刻んだ奇妙な欠片を掘り出す。
それは、この土地のどの墓にも属さない、あまりにも古く、あまりにも異質な“印”だった。
その日を境に、六人の日常は静かに崩れ始める。
村に古くから残る不気味な童歌。
夜に口にしてはならない禁句。
「使い」とだけ名乗る、正体不明の老人。
そして、墓場の地下に眠る、門にも似た巨大な遺構――。
やがて彼らは知る。
自分たちが掘り起こそうとしているものが、ただの遺跡でも伝説でもなく、日本の有史以前に封じられた巨大な歴史の傷であることを。
かつてこの地には、表の歴史から失われた戦いがあった。
敗れ、散り、名を捨て、それでも世界の底で何かを守り続けた者たちがいた。
その流れは途絶えたのではない。
守封衆、開裂衆、散地衆――異なる形に枝分かれしながら、現代まで密かに受け継がれてきたのだ。
なぜ六人は“色の名”を持つのか。
獣紋は何を示すのか。
墓場の下にある“門”は、何を封じ、何を待ち続けているのか。
そして「使い」は、誰の意志を運んでくる者なのか。
これは、世界の底に埋められた神話を掘り返してしまった六人の物語。
失われた名、封じられた記憶、消えた者たちの祈りに触れながら、彼らはやがて、自分たち自身がその古い傷の延長に立つ存在であることを知っていく。
墓場から始まるのは、ただの冒険ではない。
それは、忘れられた太古の日本と、現代の底をつなぐ壮大な扉を開く旅。
六人が辿り着く先にあるのは救済か、継承か、それとも、再び世界を裂く“開門”か。