あらすじ

三十三年に一度の秘仏・千手観音菩薩の御開帳を迎えた住職・景司は、自らの代でその大役を果たせることに深い喜びを感じていた。多くの参拝者と報道陣が見守る中、長く閉ざされていた内陣の扉が開かれる。闇の中に現れた観音菩薩像の足元には、先代住職が遺した小さな箱があった。その中に収められていたのは、「千の手とは願いを叶えるためではなく、人を支えるための手である」と説く書付であった。その言葉に触れた景司は涙し、その思いを人々に伝える。やがて参拝者たちは静かに手を合わせ、それぞれの中にある「他者を思う心」に気づいていく。御開帳は単なる儀式を超え、人と人とを結ぶ祈りの場となる。景司は自らもまた“千の手の一つ”として生きることを胸に刻み、次の三十三年へとその思いを託していく。

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エブリスタ2026/04/07
  • 現在の作品三十三年の灯 千手観音菩薩に託された見えぬ手