あらすじ

海風と山霧がぶつかる城下町・真澄津では、城主家の魔道具「鑑顔鏡」が人の印象や声の通りまで数値化し、町人たちはそれを俗に「顔面偏差値」と呼んで、祭礼の先導役から接客、縁談にまで持ち込んでいた。役場書記補の泰雅は、夏至の灯籠行列の案内役募集にまたしても「顔面偏差値六十八以上」と並ぶ条件を見て、町を支える側が報われない現実にやりきれなさを抱く。そんな折、神社の旧家の娘・桜都が古文書を手に会議室へ現れ、本来の先導役は徳を積んだ者だったと訴える。言い争う拍子に、古びた「柔らかな掲示板」が目を覚まし、何十年も届かなかった礼状を老夫婦のもとへ映し出したことで、二人は見た目ではなく想いを町に巡らせる仕組みの存在を知る。鍛冶場の若旦那・徳信、絡繰いじりに長けたあき子、古文書を追うりゅうのすけ、町を走り回る友莉亜らと「徳札係」を立ち上げた泰雅たちは、会議室を拠点に、言えなかった感謝や埋もれた善意を一枚ずつ町へ届けていく。だが、顔面偏差値制度で利を得てきた商家と役人たちが反発し、会議室は封鎖され、夏至の夜を守る結界灯まで弱り始める。見栄えのよい少数ではなく、名もない多数の思いやりこそが町を支えると証明するため、彼らは町じゅうを新たな掲示板へ変え、届かなかった感謝を灯へ変える戦いに挑む。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/04/19
  • 現在の作品顔面偏差値で役目が決まる都で、僕らは徳札を復活させる