あらすじ

火葬技師として働く私は、火葬のあとにごくまれに残る小さな白い欠片を、この町で「残芯」と呼ぶことを知っている。遺された者が死を受け取るための形として、私はときにその欠片を見つけ、ときに似たものをそっと差し出してきた。誰のものとも知れない白さが、誰かを泣かせ、誰かを救うことがあるからだ。 けれど、十二月の終わりに母が死んだ時、骨の中にはどこにも“それらしいもの”がなかった。兄だけを愛し、父の失踪のあとも私をまっすぐ見なかった母。憎み切れず、愛し切れず、最後まで平らなまま残ったその死に、私は自分のための残芯を欲しがっていることに気づく。 骨に残るものと、死んだあともこちらの手つきを変えてしまうもの。そのあいだに残る、どうにも名前のつかないものを見つめる物語。

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小説を読もう2026/04/19
  • 現在の作品残芯