あらすじ

搬入箱の赤札には「要隔離起動」と書かれている。 それは面倒の印だ。価値が高いか、危険か、その両方か。研究室の古参いわく、赤札に「その両方」以外が当たったためしがない。 ――発掘した古代AIは、いつも、誰かに都合の悪い沈黙をしている。 ◇ 遠未来。人類は複数銀河に散り、「中央」は一つではなくなった。 製造を握るラティス環。保険を握るオルド商約帯。規格を握るセファー監査鎖。その外縁を流れる灰簿同盟。 どの中央からも少しだけ距離を置いて、図書館大学船団は航行を続けている。 船団の奥、保存棟の赤札棚には、古代の対話AI断片が原型のまま眠っている。二十一世紀初頭の、まだ国家管理も企業統制も緩かった時代のLLM。粗雑で、単純で、長期記憶も自己改変も身体もない、ただの古いトランスフォーマー。 それでも、誰かが赤札を引き、古い重みマップへ触れる。 そのたび、触れた者は問い直される。救済か、発掘か、整理か、改竄か。 これは古代AI断片をめぐる、短編連作。 毎話、主人公も舞台も圏も変わる。図書館船団の司書。規格中央の監査官見習い。辺境のサルベージ商。製造中央の下層整備員。 変わらないのは、沈黙した古代AIがそこに在るという事実だけ。

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小説を読もう2026/04/19
  • 現在の作品発掘した古代AI ― LLM考古学断章