あらすじ
第三回さいかわ卯月賞(https://kakuyomu.jp/user_events/2912051596662212725)に参加するために書きました。
テーマは「歯車」を選びました。
あらすじ
「春は、どうにも浮ついていけませんね」
四月、桜舞う高級ホテルのラウンジ。
指定暴力団の若頭・黒鉄(くろがね)は、親分の命令で渋々「お見合い」の席に座っていた。
彼が求めているのは、血で血を洗う暴力的な組織(システム)を裏から完全に統制できる『肝の座った女(極妻)』。温室育ちのお嬢様など適当にあしらって帰ろう、そう思っていたのだが。
令嬢・美波の口から飛び出したのは、黒鉄の背筋を凍らせる「凄惨な内部抗争」の真実だった。
「昨日も私の手を本気で狙って来まして。鋭い牙で容赦なく突っかかってくるんです」
実家に潜む狂暴な「狂犬(ヒットマン)」。
「赤い服の標的(ターゲット)」に対する、無慈悲な待ち伏せと血祭り。証拠隠滅を物語る靴の残骸。
そして何より黒鉄を戦慄させたのは、その暴走する狂犬を素手でコンクリートの床に組み伏せ、白目を剥いて降参するまで徹底的な「暴力」で調教し切る、美波の圧倒的なまでのカリスマであった。
「間違いない。この女こそ、俺の修羅の世界を統べる最強の『要』だ!」
穏やかな春の陽射しの下、決して交わってはならない異質のふたつの「歯車」が、一語の誤解もなく、完璧に噛み合ってしまう――。