あらすじ

合法的な安楽死支援施設に勤める田中誠二は、十七年間、二百三十一人の「最後の意思」を粛々と実行してきた。 ある三月の午後、一人の女性が訪れる。末期患者でも、宣告を受けた者でもない。問診票にはただ一言――息子に、これ以上迷惑をかけたくない。 手続きは正当だった。同意も明瞭だった。だから田中は、いつもの問いを口にした。 しかし彼女の返答は、十七年分の「正しさ」を根元から揺さぶるものだった。 死を管理する者が、自分の死から目を逸らし続けるとき、何が起きるのか。選択の重みとは、他者に負わせるものなのか。 読後、最初の一文に戻ったとき、この物語は全く別の顔を見せる。

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エブリスタ2026/04/18
  • 現在の作品読切短編 二百三十二番目