あらすじ
恋をしていないと生きていけない――そんな自覚を持つ高校二年生・伊吹春香は、これまで何度も恋愛を繰り返してきた。しかし、いつも長続きしない。自分から好きになって告白し、付き合った途端に「何か違う」と感じてしまうのだ。
新学期の始業式の日。春香は付き合って一か月の先輩・松木修二に、自ら別れを告げる。理由は、自分でもわからない。ただ胸の中に残るのは、説明できない違和感だけだった。
そんな春香の前に現れたのは、柔道部の上田吾朗。無骨で不器用、いわゆる“恋愛対象外”の男子だった。
ある日、日直をきっかけに言葉を交わす中で、春香は上田に何気なく問いかける。
「柔道って、楽しい?」
返ってきたのは、予想外の言葉だった。
「楽しくはない。でも、俺は柔道が好きだ」
その一言が、春香の心を大きく揺らす。
“楽しいから好き”だと思っていた恋とは違う、まったく別の価値観。
やがて彼女は、上田の背中や生き方に、これまで感じたことのない感情を抱き始める。
これは、恋をしているつもりだった少女が、本当の想いと出会い、初めて全力で突っ走るまでの物語。