あらすじ

世界の記述(正史)が固定される瞬間の微細な遅延——「同期不全の隙間」。 辺境の兵卒リドは、銀の算盤(アバカス)を弾き、その空白に干渉することで運命を書き換える「因果編纂」の異能を持っていた。 「一緒にすごいやつになろう」 そう笑う相棒を絶望的な戦場から救うため、リドは禁忌の演算を繰り返す。 敵将の剣を数ミリずらし、不自然な突風を呼び、敗北の運命を「奇跡の勝利」へと編纂する。 だが、奇跡には相応の代償が必要だった。 編纂のたびに、リドの肉体は銀化し、五感は失われ、人間としての機能が演算リソースへと強制置換されていく。 相棒が英雄へと駆け上がるほど、リドは冷徹な演算機へと変質し、その「嘘」を守るために影の共犯者たちが結託する。 何も知らない光の英雄と、彼を完成させるためにすべてを削り続ける銀の軍師。 これは、一人の少年が「聖皇帝」として神格化されるまでの裏側で、一人の男が世界から静かに消えていく物語。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/04/18
  • 現在の作品因果編纂者の英雄作成記録 〜俺を対価に、あいつを世界の頂上へ連れて行く〜