あらすじ
無職の三十代・アイバは、異常なまでに足が速いという才能以外、何一つ持たない男だった。
ある日、街中で高級宝石店に納品される一千万クラスの宝石の山を目にし、彼は「人生をやり直す方法」を思いつく。
綿密な下見の末、決行前夜。
親友であり平凡なサラリーマンのシガラミに計画を見抜かれたアイバは、すべてを打ち明ける。
捕まることを前提にした犯行。
三年間の服役。
その間、宝石は外の世界にいるシガラミが隠し持つ。
二人は、面会のわずかな時間で状況を伝えるための「隠語」を決めた。
決行の日、アイバは宝石を奪い、岬でシガラミに託す。
そしてその場で、宝石の一部を海へと投げ捨てる。
やがてアイバは自首し、刑務所へ。
三年間、走れない檻の中で、彼は親友を信じ続ける。
一方、外の世界で宝石を抱えたシガラミは、日常と欲望、そして疑念に揺さぶられていく。
刑務所内の犯罪者たち。
シガラミの周囲の人間たち。
二人の不自然な沈黙と、意味深な言葉に、少しずつ違和感が集まり始める。
果たして、二人は最後まで互いを信じ切ることができるのか。
そして海に捨てたのは、本当に宝石だったのか。