あらすじ
今は、自分の作品を自分の判断で発表できる時代だ。
しかも、多数の読者や収益を前提にしなくても、とりあえず外に出すことができる。
けれど、物書きは個人の才能だけで成立しているわけではない。
文字文化、読書文化、流通、そして作品を読み継ぐ土壌があって、ようやく成り立つ。
自分が書く「普通の人」の物語もまた、そうした文化の蓄積の上に立っている。
さらにこの先は、自分で小説を書くよりも、自分の好みに最適化された物語を生成してもらう時代が来るかもしれない。
そんな未来を見据えた時、それでも自分の言葉で書くことにはどんな意味が残るのか。
発表の自由が広がった今は、物書きにとってかなり恵まれた時代だと思う。
ただし、その分だけ競争相手は増える。
表現という点では良い時代でありながら、商売という点ではむしろ難しくなる。
その矛盾ごと含めて、今という時代の面白さを考えた創作論エッセイ。