あらすじ
「お前の代わりはいくらでもいる」——トップ配信チーム「レガリア」の裏方として三年間尽くしてきたE級探索者・薄井奏は、配信終了後の駐車場でそう告げられた。
唯一のスキル「同調《リゾナンス》」——武器と魔素を同調させ、武器の性能を一瞬だけ極限まで引き出す力。
戦闘系と認識されずE級判定を受けた奏は、チームのS級リーダーが振るう剣の出力を裏から底上げしていた本当の功労者だった。しかし誰にも気づかれない。自分にさえも。
追放の夜、公園ベンチで、奏は一人の少女に声をかけられる。
元D-Liveプロデューサー・棗鈴音。「あなたの同調、画面越しでも分かりました」——彼女は、武器出力のグラフと岩陰に屈む奏の姿を重ねた画面を差し出し「私と組みませんか」と申し出る。
登録者ゼロから始まった配信チャンネル「Resonance」。奏は980円のホームセンターの包丁で、A級ダンジョンの装備規格を超える出力を叩き出す。B級ソロクリア、A級探索者・青霧紗絵との共闘、掲示板での論調逆転——同じ頃、奏を切り捨てたレガリアはA級挑戦で苦戦し、リーダーの鳳条颯の実力不足が露呈していく。
D-Live運営の妨害、おすすめ非表示、収益化停止。それでも視聴者は自発的に切り抜きを拡散し、業界のA級配信者たちが次々と擁護に回る。鈴音が過去に守れなかった配信者の無念が、奏の配信の中で形を変えて回収されていく。
A級ダンジョン『絶海回廊』、同接十万。奏は「万物同調」に到達し、鳳条の運営癒着と偽告発を全て暴露する。レガリア解散、探索者ランキング1位。
——「俺は、俺の戦い方が、けっこう好きだ」