あらすじ
高校二年の春。
無口で目立たない少年・榊恒一は、図書室で出会った少女・朝比奈春乃に少しずつ惹かれていく。
春乃は明るく、優しく、なぜか誰よりも「今日」を大事にしていた。
また今度、ではなく今日。
いつか、ではなく今。
そんな彼女に振り回されながら、恒一は初めて誰かと過ごす時間を愛おしいと思うようになる。
けれど春乃には、誰にも言えない秘密があった。
彼女は少しずつ記憶を失っていく病気を抱えていたのだ。
昨日の約束。
楽しかった会話。
大切な思い出。
そして、いつかは――好きになった人のことさえ。
「私、いつか君を忘れるよ」
それでも恒一は答える。
「忘れられてもいい。好きになったことまで、なかったことにはしたくない」
忘れられていく恋。
それでも積み重ねる、かけがえのない日々。
これは、春を失っていく少女と、何度でも彼女を好きになる少年の、静かで優しい悲恋の物語。