あらすじ
かつて世界を二分した魔王と勇者の戦いは、百五十年の時を経て、国民の税金で維持される**「伝統行事(エンターテインメント)」**へと形骸化していた。
勇者ギルドの広報課主任、**環結弦(たまき ゆづる)**の仕事は、年に一度の『魔王勇者決戦』を盛り上げること。
魔王庁の代表執行役、イヴ・ルミナリス・ヴォルガドの仕事は、勇者に負ける「最高のヒール」を演じること。
聖剣の出力は安全基準の30パーセント以下。
魔法のエフェクトは4K放送映えを最優先。
決戦後の打ち合わせは、二人きりのコンビニスイーツ反省会(という名の秘密のデート)。
すべては平和な共生社会を守るための「ビジネス」であり、二人の関係は「完璧な共犯者」のはずだった。
しかし、記念すべき第百回記念大会を前に、世論と二人の感情がバグり始める。
「勇者引退説」や「魔王封印計画」が囁かれる中、結弦はある決意を固める。
「——次の決戦、台本は捨てましょう」
コンプライアンスも、火薬の予算も、平和の維持も知ったことか。
世界が熱狂する嘘っぱちの舞台の上で、二人は初めて「本気(ガチ)」の刃を交える。
これは、プロ意識が高すぎる社畜勇者と、乙女な魔王様が、形骸化した世界をぶっ壊して「本当の恋」を始めるまでの100日間の物語。