あらすじ

白錆に蝕まれた世界では、物は壊れる前に「意味」を失っていく。 人の記憶や感情の質量――“想”が傷ついたとき、それを銀の糸で縫い留める者たちがいた。人は彼らを、心繕い師と呼ぶ。 若き心繕い師リオは、相棒の記録機構ピコとともに、空に浮かぶ島々を旅している。 父の形見の木馬を失いかけた子ども。 嘘のように景色を歪めるレンズ職人。 罪悪感の味を煮込み続ける女料理人。 花を育てながら、壊した記憶を忘れられない庭師機械。 リオは彼らの壊れかけた“想”に触れ、失われる寸前の温もりをひとつずつ縫い留めていく。 だが、誰かの喪失を繕うたび、リオ自身の胸にも説明のつかない痛みが灯る。 彼には、自分の過去がない。 旅の本当の目的は、彼が最初に修復したはずの品――**「最初の修復物」**を見つけ、自らの起源を知ることだった。 やがて旅の果て、世界の底に沈んだ“無彩の島”で、リオは知る。 自分の空白が、ただの欠落ではなく、あまりに大きな愛と喪失の代償だったことを。 これは、失われた記憶を取り戻す物語ではない。 戻らないものを戻らないまま抱きしめ、それでも誰かへ手を伸ばすための物語。

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カクヨム
カクヨム2026/04/18
  • 現在の作品心繕い師リオの修復日誌