あらすじ
かつて王都は、「世界統一スイーツ基準」によって甘さが管理された世界だった。
すべての菓子は均一化され、人々は同じ幸福だけを感じる代わりに、“選ぶ自由”を失っていた。
そこへ異世界から来た女・レミが現れる。
彼女は無添加食品や低糖の生活を送ってきた経験から、支配された「過剰な甘さ」に強い違和感を抱く。
やがてレミは、王宮で行われていた“幸福を抽出し感情を操作する禁断の菓子”の存在にたどり着き、
世界の味覚そのものが統制装置であることを知る。
そしてレミは決断する。
禁断菓子を壊し、世界統一スイーツ計画を崩壊させることを。
しかしそれは破壊ではなく、「味覚の解放」の始まりだった。
国王と菓子職人アディラの協力のもと、レミは段階的に味覚を取り戻す改革を進める。
甘味・苦味・酸味・辛味・旨味といった“多様な味”が再び世界に戻り、人々は初めて「自分の味」を持つようになる。
やがて和菓子をはじめとした繊細な食文化が復活し、味覚は単なる快楽ではなく「記憶・経験・選択」によって変化するものとして再定義されていく。
さらにレミは教育者として前に立ち、「正しい味は存在しない」「味は選ぶもの」という思想を広げていく。
味覚は統一されるものから、共有され、比較され、対話される文化へと変わっていった。
物語の終盤、レミは“外から世界を設計する存在”ではなく、
“同じ世界で共に選び続ける一人の住人”として生きることを決意する。
支配でも混乱でもない、
「選択し続けることで成立する世界」。
その中心にいるのは、もう特別な誰かではなく――
同じように迷い、味わい、選び続ける人々だった。
そして“次世代の幕開け”は、完成ではなく「永遠に続く選択の始まり」として続いていく。