あらすじ
二十数年前、この世界で最初の『滲出《リーク》』が確認された。
都市、山間部、地下施設、廃商業区画、海上輸送路。既存のインフラや土地に突如として発生する、異空間へ通じる穴である。
そしてこの穴は、消して物を飲み込むだけの物ではなかった。
──異次元怪獣《デーモン》。
滲出《リーク》から漏出する、異形の怪物たちである。
異次元怪獣《デーモン》は単なる害獣ではない。
周囲の生物を捕食し、生態系を破壊し、人工物や自然環境の性質すら変質させる。建物の内外距離をねじ曲げ、金属疲労を加速させ、熱の逃げ方を変え、知覚や判断にまで干渉する。
それは人類が想定していない干渉、危機、災害だった。
しかし、人々はただ蹂躙されるだけではなかった。
人類は彼らの異常性をエネルギーとして利用する技術を確立する。
それが『魔電力』である。
魔電力は異次元怪獣《デーモン》由来の異常エネルギーであり、人類はコードと呼ばれる制御技術によって異次元怪獣《デーモン》の異常性を運用する手段を獲得したのだ。
それはデーモンが人類にとって恐怖の象徴ではなく、排除すべき害獣に成り下がった瞬間だった。
やがて滲出《リーク》災害への対処は、巨大な産業になった。
滲出《リーク》を検知、調査、閉塞、異次元怪獣《デーモン》を討伐、被害を鎮静、報告して報酬を受け取る。
一連の工程が高度に分業化され、保険会社、警備会社、アセットベンダー、閉塞施工業者、調査会社、討伐会社、鎮静専門業者など、数多くの周辺産業を生み出していった。
その最前線に立つのが、コードワーカーと呼ばれる人々である。
魔電力を扱い、装備を運用してデーモンと戦う、現代社会における最も危険なインフラ労働者を、人々はそう呼ぶ。
これは人を守る刃達の仕事、そのリアルを集めた物語。