あらすじ
①あらすじ
中央郵便塔の未配達係として働くガートルードは、三年前の誤仕分け事故以来、自分の判断を信じきれずにいた。そんな彼女の前に現れたのは、能力測定では最低値ばかりの落ちこぼれ飛脚グラハム。けれど彼は、誰よりも確実に手紙を届け、なぜか初対面のはずのガートルードの癖や好みまで知っていた。
王都では、十二年に一度の「世界が白く染まる日」を前に、消えた年号の手紙や、存在しない差出人からの郵便が相次ぐ。調査に乗り出したガートルードは、すべての異変が三年前の旧空路事故と、今年の白い日に繋がっていると知る。
実はグラハムは、今年の白い日に彼女を失った未来から、禁術で時間をやり直していた。
「今度こそ君を守る」と一人で過去を背負うグラハムに対し、ガートルードは「守るなら隣で守って」と手を取る。白く染まりゆく世界で、二人は飛脚隊の仲間たちとともに、届かなかった手紙と想いを“今”へ配り直していく。
過去を悔やむ青年と、考え抜いた末に現在を選ぶ娘が、手紙で結ばれた人々の心を救いながら、自分たちの恋も届ける、異世界郵便純愛譚。
②登場人物の紹介
ガートルード
中央郵便塔の仕分け兼路線分析官見習い。手紙の癖や経路の乱れから、人や町の状態まで読み取る。深く考え抜くぶん決断は遅いが、腹が決まると強い。守られるだけの関係を嫌い、自分も相手を守れる恋を望んでいる。
グラハム
辺境育ちの郵便飛脚。王都転属直後の能力測定では低数値ばかりだが、努力と工夫で現場を切り抜ける。ガートルードにだけは不自然なほど甘く、意味深な微笑の裏に大きな秘密を抱えている。
ノムデ
飛脚隊副隊長。豪放に見えて仲間をよく見ている実務家。二人の背中を押しつつ、現場では容赦なく厳しい。
アナイーダ
王都便の女性飛脚。勘がよく、恋にも異変にもすぐ気づく。ガートルードの友人兼応援役。
エリアナ
記録保管室主任。整った外面の下に、十二年前に失った家族の手紙への執着を抱えている。