あらすじ
舞台は現代のロンドン。歴史ある街並みが霧に包まれる夜、人知れず蠢く「怪異」たちがいた。
伝統的な魔術師たちが儀式と詠唱に時間を費やす中、異質な速度で事件を片付ける一人の東洋人。日本の陰陽道本家「土御門」を捨て、単身渡英した異端の術者――土御門朔夜。
朔夜の戦闘スタイルは、徹底した合理主義に基づく。儀式を簡略化し、スマホの「霊的観測プラグイン」で敵を捕捉、最短ルートで現場へ急行し、最速の術式で叩き伏せる。彼にとって「除霊」とは、生活費とバイクのパーツ代を稼ぐための、事務的で効率的な「仕事」に過ぎない。
仕事は「最短」で終わらせ、帰路は「最長」のツーリングを楽しむ。
エンジンの熱と、霧の冷たさ。伝統の重圧と、自由への加速。
これは、しがらみを振り切り、異国の風の中を疾走する「異邦の陰陽師」の、孤独でいびつな日常を綴った物語である。