あらすじ
「私のような毒が、この温もりに触れてはいけなかったのだ」
妾腹の第八王女として生まれ、スパイとして育てられたレイシア。彼女が手に入れた唯一の居場所「ミネルビア魔法学院」は、平穏であればあるほど、彼女の過去の罪を鮮明に映し出す鏡となっていた。
ある夜会で出会った、婚約破棄に震える令嬢レティシア。自分と同じ痛みを背負う彼女を救い出したのは、善意ではなく、自分を許すための「代償行為」に過ぎなかった。
偽りの平穏、偽りの友情。
レティシアと過ごす穏やかな日々が心を溶かそうとするたび、レイシアは自らに言い聞かせる。「私は誰も信じない、信じてはいけない」と。
しかし、彼女が犯してきた「裏切り」の過去は、狂気的な執着を纏った「あの男」の姿となって、静かに、確実に彼女を崖際へと追い詰めていく。
これは、誰よりも愛を渇望しながら、愛する資格を自ら捨てた少女の、美しくも孤独な終焉の物語。
―ミモザの黄金色は、私には眩しすぎた。せめて最後は、あなたを傷つける前に、夜の深淵へ消えさせて。