あらすじ
とある異世界。
そこには四つの大国が存在していた。
勇者を王に戴く聖王国。
獣人たちを束ねる獣王国。
覇によって成り上がった帝国。
そして魔族を統べる魔王国。
かつて世界は、滅びに瀕していた。
すべてを侵す災厄――魔神の存在によって。
その脅威に対抗するため、聖王国は女神から授かった召喚の術を使い、異世界から十人の人間を呼び寄せる。
彼らは勇者として戦い、四年の歳月を経て、ついに魔神を討ち果たした。
だが――彼らは元の世界へ帰ることはできなかった。
それぞれが、この異世界で生きていく道を選ぶ中で。
一人の男は、すべてを捨てた。
勇者という立場も、名誉も、戦う理由も。
防人守。
かつて勇者として戦ったその男は、今では辺境の村で何でも屋を営みながら、ひっそりと暮らしている。
その傍らには、一人の少女がいた。
姉の忘れ形見――サヤ。
守は誓う。
この子だけは、戦わせない。
ただの子どもとして、普通に生きさせると。
これは、
勇者を捨てた男が、“普通の暮らし”を守ろうとする物語。
そして、
普通であろうとする少女が、やがて自分の運命と向き合っていく物語。