あらすじ
「私にしかできないこと? ……ええ、そうね。私には、私にしかできないことがあるわ」
王国最高の天才魔導師エルザは、限界を迎えていた。「君にしかできない重要な仕事」という甘い言葉で、膨大な雑務と二十連勤を押し付けられる日々。彼女の食生活は、素材を温水で煮ただけの味気ない「水煮」に占拠されていた。
そんなある日、彼女は下町の路地裏で運命の出会いを果たす。
それは、転移者・揚太郎が揚げる、黄金色の「ロースかつ定食」。
その一口で脳髄が沸騰し、魂を救われたエルザ。だが、彼女には店に通う時間すら残されていない。
「――なら、持ち帰ればいい」
狂気に目覚めた天才は、国家機密級の「多層結界」と「永久機関」を惜しげもなく注ぎ込み、一週間サクサクを維持する究極の弁当箱を開発。そのまま職場を叩き出した!
これは、一人の天才が銀貨三枚の至福を守るために、国家の英知を私物化して戦う「食の革命」の物語。