あらすじ

嵐の翌朝、黒砂の浜で倒れていた少女はそう言った。
「安心して。あなたの魂は、すぐには奪わないわ」
漁師の青年カイルが拾ったのは、魔族の第三王女リリスだった。
魂を喰らう種族である彼女は、感情を持てば力を失う存在。 本来なら人間とは相容れないはずの存在だった。
だが、リリスは気づくことになる。
彼の“魂”には、なぜか触れられない。
それどころか——
彼のいる場所には、魔物が近づかない。
やがてカイルは村から追放される。
「不吉な男」と呼ばれ、 婚約者にも見捨てられ、 何も持たないまま村を去ることになった。
しかし彼がいなくなったその後、 村では異変が起き始めていた。
魔物の出現が急増し、 家畜が消え、 人が傷つき始める。
一方、魔族の王女リリスは確信する。
あの男は、ただの人間ではない。
魔物を遠ざける“何か”を持っている。
そしてそれは、 自分の力でも理解できない領域のものだった。
やがて村は崩壊し、 騎士団が調査に乗り出す。
だが、どれだけ調べても原因は見つからない。
魔力反応なし。 呪いの痕跡なし。 戦闘の記録すら存在しない。
「何もないのに、すべてが壊れている」
ただ一つ分かっているのは、 カイルがそこにいたという事実だけだった。
追い出した者たちは気づき始める。
自分たちが追放したのは、 “不吉な男”ではなかったのではないか、と。
そして今さら戻ってきた元婚約者は、 涙ながらに彼へとすがる。
「お願い……助けて……」
だがカイルは、静かに答える。
「知らないな」
これは、 すべてを失ったはずの男が、 実は世界の異常を遠ざけていた物語。
そして、 奪うことしか知らなかった姫が、 “奪えないもの”に出会ってしまう物語。

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アルファポリス
アルファポリス2026/04/17
  • 現在の作品黒衣の姫は、奪えない。~不吉と追放された漁師の俺が消えた途端、村が魔物に滅ぼされた件。今さら戻れと言われても遅い~