あらすじ
ヴァイセン王国の宮廷魔法陣師として十年、ソフィアは誰よりも早く出仕し、誰よりも正確な陣を描いてきた。だが昇進するのはいつも別の誰かで、彼女に回されるのは面倒な案件と残業だけ。
ある日、王太子の婚約者選定の宴で国防用の大型魔法陣が暴走する事故が起きる。責任を押しつけられたソフィアは、弁明の機会すら与えられず宮廷を追放される。
辺境の町に流れ着いた彼女を待っていたのは、領主代行を務める無愛想な青年ニクラスと、荒れ果てた防衛陣だった。「修復できるなら好きに使っていい」という素っ気ない申し出を受け、ソフィアは初めて「定時で帰れる職場」を手にする。
しかし壊れた陣を調べるうち、宮廷時代に描かされていた魔法陣の設計図に不審な改竄の痕跡を見つける。追放は冤罪ではなく、口封じだった——。