あらすじ
小学校の頃、クラスでいじめられていた女の子がいた。
冷夏ちゃん――大人しくて、少しだけ周りと違っていた彼女。
私は彼女を嫌ってはいなかった。
でも、助けることもできなかった。
ただ一度だけ。
私は彼女から“あるもの”を借りた。
その時、彼女は笑っていた。
――それから十五年。
結婚し、子どもにも恵まれ、穏やかな日々を送っていた私の前に、
冷夏ちゃんは、何事もなかったかのように現れた。
再び始まった、穏やかな関係。
懐かしい会話。優しい笑顔。
けれど、少しずつ、日常に違和感が混ざり始める。
帰りが遅くなる夫。
そして――
「もう一人のママがいい」
そう言い出す、私の子ども。
あの時、彼女が笑っていた理由を、
私はまだ知らない。
――「ねえ、楽しかった?」
あの日、借りたもの。
そして、今、返されるものとは――。