あらすじ
①あらすじ
王都道標庁の一級道標師ベスタは、補給記録の改ざんを見抜いた直後、双尾彗星対策の名目で北辺ルーメンへ送られる。けれど、それは栄転ではなく、危険地帯の責任を押しつけるための左遷だった。
到着早々、灰鐘谷へ渡る吊り橋が崩落。ベスタは筆記用具に埋めた星のかけらで線を実体化し、その場で硬い糸の仮設橋を描いて人々を救う。だがルーメンでは、修復済みのはずの道標も避難路も、帳簿の上だけが美しく整えられていた。
案内人ライスヴーナス、薬師見習いリキ、書記官ヴァンニーノ、仕立て工房のボシリカ、図書室のシシリー、露店商バストリ、感情の揺れに敏いアイヴィー、そしてスナック星屑のパパ。町の人々と手を組んだベスタは、粗悪な星片へのすり替え、不自然に消された旧道、失踪者の行方、中央道標庁監督官ユリウスの切り捨て計画へ迫っていく。
剣ではなく筆で。腕力ではなく判断力で。
最強の道標師が、ひとりで勝つ段階から、町ごと勝つ段階へ進む。春の嵐と双尾彗星の夜、切り捨てられるはずだった全員の帰り道を取り戻すために。
②登場人物の紹介
ベスタ
王都道標庁の一級道標師。崖を駆け、風を読み、紙の上へ先に勝ち筋を書く。橋、避難線、結界、拘束まで筆記用具で描き切る最強ヒロイン。
ライスヴーナス
ルーメンの案内人兼運び屋。地形の癖を身体で覚え、土壇場で誰よりも的確に動く。ベスタの速さを真正面から受け止める相棒。
リキ
修道院に出入りする薬師見習い。野生種化や汚染された星片を調べる研究肌で、現場でも切り替えが速い。
ヴァンニーノ
ルーメン役場書記官。数字と印章の不自然さを見逃さず、改ざんの痕跡を追う。
ボシリカ
仕立て工房兼避難所の女主人。布、寝具、雨除け幕まで先回りで揃え、町の備えを支える。
ユリウス・アルフェン
中央道標庁監督官で、ベスタの元上司。地方切り捨てと星片横流しを合理の名で進める強敵。