あらすじ
魔王を倒した勇者クリストファーを待っていたのは、凱旋パレードの歓喜ではなく、一枚の「羊皮紙」だった。
「装備貸与費、部隊運用費、パレード予算……差し引き、報酬はマイナス。あなたは現在、王国に対して多額の労働債務を負っております」
勇者専属財務官クレドから、魔王討伐にかかった全経費を請求され、一瞬にして「不良債務者」へと転落したクリストファー。彼は辺境の灰降る村『アッシュ』へ、永久専属労働という名目で追放される。
村を救おうと、クリストファーは自らの命を削り、無償の奉仕で奇跡を与え続けた。だが、その「無計画な善意」こそが、村人から知性を奪い、自立の芽を摘む最悪の毒だと、元財務官クレドが元勇者を断罪する。
摩耗し、倒れた勇者。彼を救うため、村の少女カレンは自らの未来を「資本」として売り払い、クレドと契約を結ぶ。
「あなたの命の価値は、この秘薬の半分にも満たない」
提示されたのは、勇者と少女が共に地獄へ堕ちる「共同債務」の契約書だった。
かつての英雄は、冷酷な算盤を弾く元財務官の下で、本当の意味で世界を救うための「投資」を開始する。
虐げられた半魔たちとの隷属契約、大地の理を握る龍との命懸けの交渉、そして領土を脅かす「不死の軍団(リッチ)」という過去の負債の清算――。
これは、最強の武力と最恐の知力がバディを組み、不条理に満ちた世界を論理(システム)で買い叩き、再建していく領地経営ダークファンタジー。
■登場人物紹介
クリストファー(クリス)
元・世界を救った勇者。類稀なる武力と自己犠牲精神を持つが、経済観念は皆無。過去に自分を救って死んだ師匠アインの影響で「誰かを守ること」に固執し、自分をすり減らしてしまう。現在はクレドへの莫大な債務を抱える「商品」扱いだが、理不尽な世界に抗う刃として、再びその剣(レニヴァティオ)を振るう。
クレド
元・王国務内政官にして勇者専属財務官。「冷酷なる算盤」と恐れられた合理主義の権化。勇者の無計画な善意を「不良債権」と切り捨て、独自の経済論理で世界を裁く。王都を捨て、現在は「ハウアー商会」の長としてアッシュの村を拠点に暗躍。冷血漢に見えるが、その根底には世界を論理で救済するという狂気にも似た信念がある。
カレン
灰降る村『アッシュ』で孤児の面倒を見る女性。当初はクリスの自己犠牲に反発と不安を抱いていたが、彼を救うために自らの人生をクレドに売り払った。クリスの「共同債務者」として過酷な運命に身を投じ、やがて彼女自身の思いと魔力が、村の浄化と復興を支える最大の鍵となっていく。
ラキ
魔物に追われていた半魔(魔族を根源に持つ者)の女性。一族の兄弟たち(リキ、ルキ、レキ、ロキ)の命と権利を保証してもらう代償として、クレドと絶対服従の「血印令呪」を結ぶ。紫電を纏う苛烈な槍捌きで前線を支えるだけでなく、クレドの忠実な右腕として、知力・実務面でも村の復興に欠かせない存在となる。
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