あらすじ
『剣』という文字がついている場所は世界に一つしかない。それが『剣の村』だ。
村の名前は『聖剣が村のどこかに刺さっている』という伝説に由来するらしい。
『聖剣を引き抜いた者が勇者となる』
これもまた有名な話として世界中で語られている。
長きに渡り、沢山の人々が勇者になるべく聖剣を探し回ったが、見つかっていなかった。
伝説の信憑性も薄れてきた頃……。
その剣の村で生まれた少女『ミラ』は、子どもの頃にたまたま入った森で聖剣を見つけてしまう。
絵本で見たことがある、石のようなものに刺さる聖剣をミラは両手で引き抜いた。
そう、引き抜いたのだ。
ここからミラの勇者としての物語が始まる。
と思ったが、ミラの母は冒険者をしていたミラの父がクエスト中に命を落とした事で、自分の娘を冒険者にする事に反対している。
ミラは誰に似たのか、友達と遊ぶよりも剣を振る事を楽しむような変わった少女だ。
昔から冒険者になるのが夢だと語るミラを母は反対し続けてきた。
聖剣を抜いたとて、それは変わらないだろう。
ミラは、母に聖剣の話をするのが怖かった。
折角引き抜いた聖剣を森の茂みに隠し、家に帰ったミラは、その日から週に一度聖剣の元へ通い素振りをして、また茂みに隠す。
そんな生活を八年続けたある日。
いつものように聖剣の元へ行くと、聖剣が無くなっていた。
八年間、毎週通っていたミラが場所を間違える筈がない。
誰かが盗んだのだ。
勘違いかもしれない、もしかしたら何処かに飛ばされたのでは……。
少しの希望を抱き、ミラは聖剣を探し続けた。
一年探して見つからず、母に聖剣の事を打ち明ける決心をする。
ミラが聖剣の話を始めると、母の口から驚きの事実が飛び出した。
『勇者様が見つかったらしい』
その言葉を聞き、ミラは手が震え、口が開かなくなる。
一年前に盗まれた聖剣が誰かの手に渡っている事を知ったミラは、怒りが湧くが、母に悟られまいと平静を装う。
そして決心する。
『自分で聖剣を取り戻す』と。
それからもミラは剣を振る事をやめなかった。
母にどれだけ反対されても冒険者になると決めていたからだ。
成人が近いミラに母はどの職業に就くのかを問う。ミラは冒険者になると宣言する。
絶対に反対されるだろうと思っていたミラだが、あれだけ反対していた母が根気負けをし冒険者になる事を認めてくれた。
そして成人式を迎え、ミラは冒険者になる。
冒険者としてのミラの拠点は『商いの街』へ移る。
冒険者ギルドで冒険者登録をし、ミラの冒険者としての人生が始まった。
ここでミラは『勇者』を探す。
ミラだけが偽物だと知っている勇者は意外にも簡単に見つかった。
勇者パーティーの応募要項は『剣術が得意な若い女性』というふざけたものだったが、ミラにとっては好都合。
すぐにパーティーに加わることができた。
勇者の名はルイスという。
金髪に青目、少し笑っているようにみえる口元。なかなかの美男子だが、ものすごくナルシストだった。
これは、ミラの事をふざけたあだ名で呼び、ろくに戦うことも出来ないポンコツ勇者から、『本物の勇者』である主人公ミラが聖剣を取り戻す物語。