あらすじ
海上に、巨大な白い船が現れた。
どこから来たのか分からない。いつからそこにあったのかも分からない。
船内には数万の人々が整然と横たわっていた。衣も、髪も、肌も、すべてが白い。苦しみのない顔で、静かに止まっている。
そして——船の中心にある玉座は、空だった。
王だけが、いない。
これは、ある民族の記録だ。崩壊に向かう世界から逃れるため、時間の外へ出ることを選んだ人々の。悠久の時を生き、変化のない永遠の中で、感情も色も少しずつ薄れていった人々の。
そして——その術を設計し、最後まで列に加わらなかった一人の男の記録だ。
名をセラという。
彼が何者なのか、誰も知らなかった。