あらすじ
①あらすじ
王都ラズヴェルで夜番と書庫整理を務めるテルセロは、焼け落ちかけた芝居小屋で、壊れた絡繰人形から「君は勇者だった」と告げられる。直後に転移門の暴走へ巻き込まれた彼は、一年半前の王都へ投げ戻される。
そこで再会したのは、未来では歴史から零れ落ち、菓子見習いだった断片しか残っていないはずの少年ルクだった。前の時間軸でルクは王都を救うため、誰にも負わせてはいけない役目を一人で引き受け、祭壇の向こう側へ押し流されて消えた。しかも真相を隠すため、若き貴族アルデシナは「吸血鬼の花嫁」として汚名を着せられていた。
今度こそ、勇者を一人で祭壇へ行かせない。悪女を一人で泥をかぶらせない。そう決めたテルセロは、王都の坂道、転移門、絡繰人形、芝居、菓子の記憶をつなぎながら、仲間たちとともに歴史の書き換えへ挑む。
②登場人物の紹介
テルセロ
城の夜番兼書庫整理係。壊れたものをすぐ捨てず、置き場所を変えて活かす癖がある。未来の崩壊を知る唯一の人物として、今度こそ皆を失わない道を探す。
ルク
芝居小屋付きの菓子見習い。人懐こく、泣いている相手を見つけると自分の取り分を先に差し出す少年。転移門と共鳴する資質を持つ。
アルデシナ
夜明け前に起きて城下を自分の足で確かめる若き貴族女性。立場の違う相手にも扉を閉めず、前の時間軸では「吸血鬼の花嫁」として悪意を引き受けた。
スプリング
絡繰工房の技師。部品だけでなく、人の得手不得手の組み合わせを考えるのがうまい。
グラジエッロ
工房と厨房を行き来する発明屋。思いついたらまず試し、失敗しても二案目を出す。
パンデレア
王立書庫の鉱石・古文書担当。必要な答えを切り分けて抜き出すのが速い。
オンネ
芝居小屋の衣装係兼手当て役。服のほころびや相手の声色から、無理を見抜く。
ラヨシュ
近衛見習い。期待を受けるほど引き下がれないが、誰かを守ろうとする姿には弱い。
イシルド
聖堂書記。正論で押し切るより、相手が納得して進める道を探す。
ジーナ
王都の坂道と裏路地を走る配達娘。危険と知っていても、誰かを助けるためなら飛び込む。