あらすじ
ケルベロスは狂犬病予防法違反。聖剣の所持は銃刀法違反。召喚魔法は廃棄物の不法投棄。
異世界との次元の穴が開いて数年。東京に溢れる魔獣、転移者、闇ギルド――それらを「剣でも魔法でもなく六法全書で処理する」部署が、警視庁の片隅にある。異世界生活安全課、通称『いせあん』。
所属するのは、たった二人。
鮫島警部。くたびれたトレンチコートに無精髭。火のつかないタバコを咥え、魔王を前にしても「営業許可証は?」と聞く男。武器は逮捕状と国税局の直通番号。
カイル巡査。異世界の元・聖騎士。来日初日にカツ丼を食べ「この国なら、誰も殺さずに悪を裁ける」と感動し、聖剣を捨てて警察官になった青年。
暗黒ギルドを指定暴力団として口座凍結。勇者の聖剣を銃刀法で押収。魔法薬の無許可販売を薬機法で摘発。異世界の壮大なテンプレが、日本の行政手続きの前にあっけなく崩れ落ちていく。
だが本当の敵は、日本の法律を完璧に使いこなす「魔王」だった。完璧なスーツ、合法企業の代表、政界との癒着。法で戦う二人の前に、法を盾にする最強の敵が立ちはだかる。
逮捕状と税務調査で、この凸凹バディはどう詰ませるのか。カツ丼と共に、見届けてほしい。