あらすじ
「――んでくれませんか?」
「え?」
「あの、死んでくれませんか?」
「……はい?」
夜、駅近くの通り。おれはスマホの画面を眺めながら、ぼんやり帰り道を歩いていた。日付が変わるまであと数時間。また明日も仕事。そんなことを考えながら、ため息をつこうとした、その瞬間だった。
突然ビルとビルの隙間から男がぬらりと飛び出してきた。
おれは思わず「うおっ」と声を漏らし、足を止めた。驚きはしたものの反射的に軽く会釈し、そのまま男の横をすり抜けようとした。
だが男はずいと一歩踏み出し、こちらの進路を塞ぐように距離を詰めてきた。そして呟くように言ったのだった。死んでくれませんか、と。
「え、死んでくれってどういう意味ですか……」