あらすじ
「おい、セレナ。俺の礼服は?」
隣国の使節を迎える大事な朝。
王太子アルベルトは、当然のように婚約者セレナへ礼服の準備を命じた。
けれど、彼は前日にセレナとの婚約破棄を宣言していた。
理由は、彼女が「可愛げのない悪役令嬢」だから。
そして、可憐な義妹ミリアこそ未来の王太子妃にふさわしいと信じていたからだ。
ならば、もう婚約者として支える必要はない。
セレナは静かに告げる。
礼服管理、晩餐手配、夜会席次、外交文書、贈答品選定、王族礼法の事前確認。
王太子としての体面を支えていた仕事を、すべて返上すると。
「俺の晩餐はどうするんだ!」
「新しい婚約者様に」
「使節への挨拶文は!?」
「ご自身で」
失ってから気づいても、もう遅い。
悪役令嬢と呼ばれた令嬢が、王太子の生活も体面も支えていた仕組みを返上し、正当に評価される場所へ向かうお話。