あらすじ

絶望と「鋼の体」との出会い 剣道に全てを捧げてきた中学生・七海薫は、決勝戦で膝に再起不能の重傷を負い、その場で夢を断たれてしまう 。湿布の匂いと挫折感に沈む彼女を呼び寄せたのは、町外れの「つきの宮神社」にある小さな祠だった 。そこで出会った月光の髪を持つ姫・**宙璃(そらり)**から、薫は赤い祈機(ロボット)『ユズハ』を託される 。『虚ろの間』と呼ばれる異空間で、極小の歯車が噛み合う「キィィィン」という高鳴りとともにユズハと重なる間だけは、膝の痛みは消え、鋼の拍動を全身に感じて風のように動くことができた 。五人の結束と「祈りの代償」 だが、その全能感には残酷な「値段」があった 。薫たちが「影」を倒すたび、現実世界では局地的な停電や落雷が発生し、人々の思い出が電子機器から漏れ出す異常事態が起き始める 。弟の武(ポロ)、不思議な少女小夜(ネレイア)に加え、理知的な智久、メカニックに精通した**知弥(ヴァルドリオ)**がそれぞれの祈機を手に集結するが、戦うほどに町は傷つき、自分たちが「世界を壊す側」にいるという罪悪感が彼らを襲う 。深まる謎と黒い夢の侵食 ライバルの氷室冴子は漆黒の機体『コハク』を操り、「祈りは毒だ」と薫の心を切り裂く 。神社地下の『祈素記録装置』からは「黒い夢(悪意)」が漏れ出し、三ツ峠周辺は地図から消失しかけるほどの濃霧に包まれていく 。感情が物理的なエネルギーとして現実を侵食する中、武が全能感に呑まれて暴走し、町を焼き尽くしかける事態に発展 。薫は自らの「怒り」さえもユズハのエネルギーへ変換し、誰かを壊す熱ではなく、世界を守るための「安定した熱源」へと昇華させることで仲間を救い出す 。物語の結末:感情への責任 敵だと思っていた青い蛇の機体『ヴァルド』を武が助けたことで、薫たちは「敵」もまた救いを求める祈りの成れの果てであることを知る 。彼らが背負うべきは、勝利ではなく「感情の責任」だった。たとえ祈るたびに世界が綻び、ニュースに「災害」として報じられたとしても、彼らは鋼の指先に残る誰かの「泣き声」を見捨てない。五人はそれぞれの虚刻石を掲げ、傷だらけの現実を支え直すために、放課後の終わりなき駆動戦記(ドライブ)へと身を投じていく。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/04/16
  • 現在の作品小学生の祈りでロボットが動く世界――INOKI-祈機-