あらすじ
「私が助けた命なのに……恩返しもないなんて初めてだ」
山の神ーー白玖《はく》はその日、一人の子供を拾った。
その名も拓史《たくじ》という。
白玖にとってそれは、ちょっとした好奇心だった。
それから年を十回重ねた頃。子供だった拓史は立派な男になった。
白玖は拓史から向けられる「熱」が気になり始めていた。
膨らみきった拓史の感情に穴を開けたのは白玖だった。
「私は男だよ。口付け、できる?」
「……白玖様、俺は貴方と口付けできます。なんなら、その体だって」
重たく、濃い熱は白玖の心を乱し、自分の守るべき山を荒らしていく。
そして好意だけかと思っていたものは不純物も混じっていた。
「お前……私のことが嫌いなのか?」
「はい。嫌いです。でも、それ以上に大好きです」
白玖は拾ったことを後悔し、初めて知っていく感情の種が根を張り、発芽し、花開く。
白銀色は、黒羽色に蝕むように染められ、黒羽色は行き過ぎた執着によってーー神罰が下される。
※は描写ありです