あらすじ
十五歳になると、誰もがひとつだけ魔法を授かる世界。
火、水、治癒、強化──その力で人は生き方を決めていく。
だがユキが授かったのは、
**「人を安らかに死なせる魔法」**だった。
誰にも言えず、両親にだけ打ち明けたユキは、
“この魔法は絶対に使わない”と誓う。
優しい自分には、そんな力は似合わないと信じていた。
しかし数年後、狩人である父リョカが魔物に襲われ、
治癒魔法でも救えない瀕死の状態で帰ってくる。
苦しみに耐えられなくなった父は、
ユキに静かに頼む。
「……楽にしてくれ」
ユキは拒む。
だが、父の痛みに満ちた表情を前に、
ついに“最初の一度”だけ魔法を使ってしまう。
父は安らかな顔で息を引き取った。
残ったのは、救ったという事実と、
自分が“殺した”という罪の重さ。
ユキは知る。
これは祝福ではなく、運命だと。
そして彼は歩き出す。
苦しむ人々に“安らぎ”を与えるために──
自分が壊れていく未来を理解しながら。